のんびり食事の支度をしていたときにニュースで山本文緒さんの訃報を聞いた。
本当にびっくりして頭の中が「?」でいっぱいだった。
「自転しながら公転する」が発売されてニュースとなり先日は「バニラさま」を読んだばかりの私はニュースを聞きながら信じられない気持ちでいっぱいでした。あまりに信じられなかったのでスマホで検索をしてしまった。その間にゆでていたパスタは伸びてしまって慌てて食事を作り家族に出すと改めてスマホの画面をのぞき込んで訃報を読んだ。
山本文緒さんの文章が好きだった。
作家のファンと言うのは作家の文字の隙間を読んでいるのかもしれない。
一人として同じ文体はいない。1行を読んだだけで宮部みゆきは宮部みゆきさんだし、村上春樹さんは村上春樹さんなのだ。
山本文緒さんの本はふとした季節の変わり目に読むことが多かった。とくに少し空気が冷たくなる頃になると本棚から出して縁側で薄い日の光を浴びながら読むというのが定番だった。
訃報をからしばらくの間はどうしてこんなに短い間にお亡くなりになったのだろうといろいろなメディアの山本さんのニュースを読んでおりました。
この本が出版されて空に投げていた私の質問は全回答を得ることになった。
そういうことだったのか・・だからバニラさまは自転しながら公転するから時間をあけずに出版されたのか。NHKの番組から1年経たずに訃報と言う形になったのはこういうことだったのか。
この本は山本さんの2021年時点の言葉が詰め込まれている本だった。
本を書くことをお別れの挨拶として許してくださいとお書きになっているが、体調もメンタルも不安定な中で良く書いてくださった。
この本を読んでさらに大好きになりました。
根性とかそういうことではない。
チャーミングでやさしい眼差しでありながら冷静な洞察力。そうでなければ無人島なんて言葉は思いつかないと思う。
怖くて辛くて寂しくてといういろいろな感情があったと思いますが、本を読む限り表紙のような明るい場所を何故か想ってしまう。
山本文緒さまへ
この本を読んでいたころはコロナの最中でしたが、今年の夏は友達とランチどころか海外旅行にもいけるようになりました。当たり前だった毎日を取り戻したかのように見えていてもどこか全く違うのではないかと思うような世界です。山本文緒さんがこの世界にいらしたらこの世界をどういうふうに見るのかな?なんてふと思ったので今日は何回も読んでいる「無人島のふたり」の読書感想文を書こうと思ったのですが、最後は山本さんへの手紙になってしまいました。新刊が出ないことは寂しいけれど残してくださった本を今年の秋も縁側で読むと思います。
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