私の大好きな映画です。ドキュメンタリーというカテゴリだと思います。ご高齢のご夫婦の日常です。こんな風に年を重ね生きていくことができたら幸せだなというのが最初の感想だったのですが、何回か見るうちにこんな風に生きていきたいと思うようになりました。生きていく上での指針ともなりました。
「人生フルーツ」とは
ご主人の津端修一さんは建築家で恩師アントニン・レーモンドの自邸を倣った自宅に住み奥様の英子さんと共に70種類の野菜 50種類の果実をつくり自分の手を動かして作ったものを食して生活をしている。結婚生活は60年。この建築家の修一さんは高蔵寺ニュータウンを作った方でもある。自然を切り開いらいてニュータウンを作った。もともとはこういう森だったということを伝えていきたかったそうですが、経済優先の時代はもともとの自然を顧みることもない。しかしニュータウンを作って50年たった高円寺ニュータウンのお二人の住まいは自然が溢れ作物が育つ土を育てていた。その雑木林のお二人の生活はお金でなんでも手に入れる現在の日本において稀である。自然を受け入れ手を動かし作物を育て、それを頂きまた明日も同じような生活をする。長い間かけてニュータウンの一角は森に戻ったように思えます。そして長い年月を二人で一緒に生きていくご夫婦の姿に憧れます。
「人生フルーツ」の感想(映画の内容を知りたくない方は飛ばしてください)
自分で作ったニュータウンに住んでいる建築家さんがいるんだ。という驚き。ニュータウンは我が家の近くにもあるけれど他の場所から来た誰かが埋め立て、区画を作り完成されて住む人が購入して住み始める。誰がここをということではなく大きな会社名のみは知っている。その地に建築家さんが住んでいるとしたらそれだけで魅力的に思える。自分で作った土地に自信をもって住んでいるというイメージで。実際の津端さんは切り開いてしまった森を再生させるような気持のほうが強かったと思われますが。
「なんでも自分でやってみるとみえてくるものがある」と仰っていた修一さんの言葉は(英子さんが話されていた)私の今の人生の航海図のコンパスになっています。作物を育てるということだけでなく、興味はあるけどできるだろうか?こんなものを作ってみたいけどどうかな?面倒だから業者の人に頼もうか?なんでもやってみることにしている。時には人に頼んだほうが綺麗に出来たりカッコよかったりするけれど、過程を楽しむようにしています。我が家の障子も自分で先日張り替えてみました。以前は業者さんに頼んでいたけれど自分でやってみると、障子貼りに適した季節を考えるようになりました。乾燥した日に貼ってしまったので予想以上に紙がピーンと貼りすぎてしまったので失敗となりましたが、それもまた良い経験だと思うようになりました。手を動かすこと以外にも私には難しいと思われる本も少しずつ読むようにしています。なかな進まないけれど着実に内容は理解できるようになってきているように思います。
英子さんがケーキをつくっているシーンがあるのですが本当に美味しそう。イチゴの素朴なケーキに目が釘付け。あんなケーキが食べてみたい。そして食事の後に「おいしかった」と修一さんがいう場面では結婚生活60年ではなく新婚のよう。ほのぼのとした気持ちになります。
90分の映画を観終わった後、自分の生活を想う。なにか足りないと物を買っていたが、足りないのは自分の中のなにかなのではないだろうか?
どこで見ることができるの?
2016年に上映されてからいろいろな劇場で上映されています。定期的に上映されている映画館は北海道のシアターキノさん
今は東京はポレポレ東中野さんと沖縄のシアタードーナッツ・オキナワさん
今上映していう劇場を探す場合はこちら→人生フルーツ上映劇場情報
そして上映会募集中から自分で上映会をすることも可能のようです。映画館ではなく市民交流センターなどの主催での上映もあるみたいなので、お住いの場所に上映スケジュールがあるのか調べるのもいいかもしれません。
DVDや配信はあるのかな?
DVDを制作されていないということを以前、監督の伏原健之さんがお話されていたので無いと思っていたら、台湾では発売されていたのか見かけることがありました。しかしこのDVDはリージョンコード3の為、日本のDVDプレイヤーでは見ることが出来ないと思われます。リージョンフリーのDVDプレイヤーなら見ることができるかもしれませんが、注意が必要です。
人生フルーツは時々、たまに、まれに放送されているようなので東海TVなどをチェックしてみるといいかもしれません。
※人生フルーツは東海TVで制作されました。
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